WORKS NO. 850 空から墜ちた楽園
環境破壊によって、地上は紅く染まった。
海は濁り、大地はひび割れ、空からは毒を含んだ雨が降った。一部の権力者たちは、人類を救うという名目で巨大な空中居住区を建造した。
しかし、そこへ行けたのは莫大な資産を持つ者、政治を動かす者、そして彼らに必要とされた技術者だけだった。
彼らは地上に残る人々を「救えなかった命」と呼び、雲の上へ逃げた。
だが、残された人々も馬鹿ではなかった。
医師、農学者、職人、教師、研究者たちは、廃材を集め、地下深くにシェルターを築いた。限られた水と食料を分け合い、知識を子どもたちへ伝えながら、毒の時代を生き延びた。
一方、空中の楽園では、食料、水、酸素、居住区の所有権を巡る争いが始まった。
誰が多く生きる価値を持つのか。
誰の子どもを未来へ残すのか。
誰が限られた資源を支配するのか。
権力者たちは派閥に分かれ、互いの生命維持装置を止め、空中都市を武器へ変えていった。
やがて均衡を失った楽園は炎に包まれ、巨大な城塞は空から崩れ始めた。
その頃、シェルターの人々が地上へ出ると、信じられない光景が広がっていた。
紅い大地は消え、見渡す限りの植物が世界を覆っていた。森は廃墟を呑み込み、川には魚が戻り、鳥たちは空中都市の残骸を巣にしていた。
人間が姿を消した僅かな期間に、地球は自ら傷を塞いでいたのである。
人々は考えた。
文明こそが世界を壊した。
機械も都市も財産も、すべて捨てよう。
もう支配する者も、支配される者もつくらない。
土を耕し、必要な分だけを採り、原始的に自然と共存しよう。
人々は書物を閉じ、機械を解体し、過去の技術を森の奥へ封印した。
空中都市から生還した者たちが助けを求めても、地上の人々は拒んだ。
「お前たち�

