WORKS NO. 842 怪異が護る秩序
闇に立ち
乱れし境
刃もて
命の掟
怪異が護る
人の世と異界の境が揺らぐとき、赤き瞳の怪異が現れる。その刃が斬るのは命ではない。欲望によって乱された流れと、越えてはならない境界である。
人々は異形の姿を恐れ、彼を災いと呼んだ。しかし彼は、誰にも知られることなく、弱き命を守り続けていた。恐ろしい姿は、さらに大きな恐怖を退けるための鎧だった。
秩序とは、強者が弱者を従わせるための鎖ではない。異なる者同士が互いの領域を尊重し、共に生きるための約束である。力もまた、支配するためではなく、壊れかけた均衡を取り戻すために使われなければならない。
正義が光の中にだけ存在するとは限らない。誰にも感謝されず、誤解されながら闇に立つ者が、この世界の静かな朝を護っていることもある。
WORKS No.842

