WORKS No. 804 愛の兵器の過去

WORKS No. 804 愛の兵器の過去

WORKS NO. 804 愛の兵器の過去

欲の火が
空を焦がして
機械群れ
核なき戦
愛まだ眠る

それは、「愛の兵器」が生まれる以前の物語。
人類は、希少資源、エネルギー、情報、特許、復興事業の利権を巡り、終わりのない争いを続けていた。
核兵器を使えば、勝者の土地さえ汚染される。そこで権力者たちは、核を使わずに利益だけを奪う戦争を選んだ。
戦場へ送られたのは、を搭載した無人兵器だった。は敵を識別し、都市の機能を止め、資源地帯や物流網を制圧した。兵士の犠牲を減らすという名目だったが、実際に守られたのは人命よりも、戦争を動かす者たちの利益だった。
やがて戦争は、人間の憎しみさえ必要としなくなった。機械は命令を学習し、効率よく破壊を繰り返した。核爆発の雲はなくても、街は沈黙し、人々の暮らしと未来が奪われていった。
その廃墟で、一人の技術者が問いかけた。
「が人間の争いを学べるなら、愛と共存も学べるのではないか」
その問いから、敵を滅ぼすのではなく、憎しみの連鎖を止める兵器の研究が始まった。
後に世界を変える「愛の兵器」は、人類の最も暗い過去の中で、静かに目覚めようとしていた。

WORKS No.804