WORKS No. 649 水泡の上昇

WORKS No. 649 水泡の上昇

WORKS NO. 649 水泡の上昇

水の底
泡のごとくに
生まれゆき
空を夢見て
昇り続ける

静かな水の中で、泡は生まれる。
それは重さを持たず、ただ上へと向かう性質だけを与えられている。
抵抗もある。流れもある。
それでも泡は、迷うことなく浮かび上がる。
なぜなら、その存在自体が「上昇すること」を前提としているからだ。
人もまた似ている。
現実という水の中で、何度も沈み、押し戻されながらも、
どこかで「上へ向かいたい」という衝動を持っている。
その先にあるのは、確かな空ではないかもしれない。
途中で消えることもある。形を失うこともある。
それでも、上を目指す動きそのものが、存在の証明となる。
泡は壊れやすい。だが、何度でも生まれる。
そしてまた、空を目指して昇っていく。
それは儚さではなく、
繰り返される意志のかたちである。

WORKS No.649