WORKS No. 605 寄り添うという静けさ

WORKS No. 605 寄り添うという静けさ

WORKS NO. 605 寄り添うという静けさ

傷跡に
無理な言葉は
いらなくて
ただそばにいて
察する心

傷ついた心に対して、言葉は時に重すぎる。
励ましも、正しさも、解決策も、
その瞬間には届かないことがある。
むしろ、それらは「無理に立たせようとする力」として、
さらに負担になることさえある。
だから必要なのは、言葉ではない。
ただそばにいること。
何も言わず、ただ相手の空気を感じること。
人は、完全に理解されなくてもいい。
だが「理解しようとしてくれている存在」があるだけで、
心は少しずつほどけていく。
察するという行為は、決して受け身ではない。
それは相手の内側に意識を向ける、能動的な優しさだ。
言葉を使わずに寄り添うことは、簡単ではない。
だがそれは、最も深く届く関わり方のひとつでもある。
傷はすぐには消えない。
だが、そばにいる誰かの静かな存在が、
その痛みを少しだけ和らげる。
優しさとは、何かを与えることではなく、
相手のままでいられる場所を守ることなのかもしれない。

WORKS No.605