WORKS NO. 591 忘却の形
失われ
空白となる
この心
忘れた罪が
形を変える
人は、すべてを覚えて生きているわけではない。
むしろ多くのことを、意識の外へと押しやりながら日々を過ごしている。
過去の過ち、向き合いきれなかった選択、
目を背けたままにした感情。
それらは「忘れた」と思った瞬間から、消えたわけではない。
心の中に空白が生まれるとき、それは何もない状態ではない。
そこには、本来向き合うべきだったものが、形を変えて潜んでいる。
忘却とは、解決ではない。
ただ一時的に見えなくしているだけに過ぎない。
やがてその歪みは、別の形となって現れる。
理由のわからない不安や、繰り返される同じ失敗、
説明のつかない違和感として。
人は無意識のうちに、過去をなぞってしまう。
それは記憶としてではなく、感覚や行動として繰り返される。
だからこそ必要なのは、思い出すことではなく、向き合うことだ。
忘れていたものに輪郭を与え、意味を与え直すこと。
空白を埋めるのは、新しい何かではなく、
本来そこにあったものへの理解なのかもしれない。
心は消えない。
ただ、形を変えて存在し続けている。
WORKS No.591

