WORKS NO. 899 『白い旅軍純白の正義が生んだ、黒い影』
白い旅軍は、戦場に取り残された子供たちを守るために結成された。
白い服には、国や思想の色に染まらず、憎しみの連鎖を断つという誓いが込められていた。
しかし、長い戦争はその誓いを変えていった。
「白い者は正しい。白くない者は敵だ」
いつしか彼らは、自分たちだけが平和を理解し、武器を持つ資格があると信じ始める。
疑問を口にする仲間は臆病者、命令に従わない者は裏切り者とされた。考えることより服従が求められ、命を救うための銃は、思想を押しつける道具へ変わっていった。
危険な思想は、最初から恐ろしい姿で現れるとは限らない。
正義、平和、仲間、未来美しい言葉をまといながら、人から疑う力を少しずつ奪っていく。
どれほど目的が正しくても、異なる意見を排除し、犠牲を当然とし、暴力を唯一の答えとした瞬間、その正義は新たな支配となる。
白は、すべてを正しくする色ではない。自らの汚れや過ちを隠す色にもなり得る。
本当に守るべきものは、組織の名誉でも思想の純粋さでもない。
一人ひとりが考え、疑い、そして自分の間違いを認められる自由である。
白い旅軍最大の敵は、目の前の軍隊ではなかった。
「自分たちは絶対に正しい」という、心の中に生まれた確信だった。
WORKS No.899

