WORKS NO. 898 『白い旅軍廃墟に残した、生きていた証』
戦争が長引き、大人が消えた街に子供たちだけが取り残された。
白い旅軍を率いる少年は、幼い少女と小型偵察機を連れ、落書きに覆われた廃墟を歩いていた。
少年が強く振る舞うのは、恐怖がないからではない。自分が怯えれば、仲間の心まで崩れると知っていたからだ。
少女も身体には重すぎる銃を握っていた。しかし、その先にいるのは敵ではなく、飢えから食料を奪おうとする同じ年頃の子供かもしれない。
だから彼らには規則があった。
「撃てるから撃つな。最後の一発は、命を守るために残せ」
廃墟の壁には、失った家族の名前、帰りたい家、食べたい料理、そして「ここで生きていた」という言葉が描かれていた。
それは落書きではない。歴史に残らない子供たちの、生きていた証だった。
戦争は勝者と敗者だけでは語れない。その陰には、遊ぶ時間を奪われ、文字より先に武器を覚えた子供たちがいる。
白い旅軍が守るのは命だけではない。人を信じる心、笑う理由、未来を想像する力人間らしさそのものだった。
子供の勇敢さを美談にしてはならない。
称えるべきは、子供が勇敢である必要のない世界だ。
いつか武器を捨て、その手で新しい街に平和な未来を描くために、彼らは歩き続ける。
WORKS No.898

