WORKS NO. 897 『白い旅軍子供たちが運んだ、戦争の終わり』
戦争で街も国境も焼かれ、家族と故郷を失った子供たちは「白い旅軍」を結成した。
彼らが白い服を選んだのは、正義を名乗るためではない。どの国の色にも染まらず、大人たちの憎しみを次の世代へ渡さないという誓いだった。
武器を持つ少女の背後には、瓦礫を越える白い機械兵がいた。本来は戦うための機械だが、彼らの目的は敵を倒すことではない。戦場に残された子供を救い、安全な場所へ導くことだった。
それでも旅は残酷だった。昨日の友が今日は異なる旗の下で武器を構え、食料が尽きれば奪い合い、銃を下ろせば仲間を失うかもしれない。
少女は自らに問い続けた。
「私たちは生きるために戦っているのか。それとも、戦うことに慣れてしまったのか」
戦争の最も深い悲劇は、街を壊すことだけではない。子供から人を信じる心と、未来を夢見る時間を奪うことである。
白い旅軍は勝利を求めなかった。一人でも多くの子供を戦場から救い、いつか武器を置き、再び子供として笑える場所へたどり着く。それだけが彼らの勝利だった。
白は、汚れを知らない者の色ではない。血と灰にまみれても、人間らしさを捨てなかった者の色だ。
子供が戦場で勇敢になることを、美談にしてはならない。彼らが握るべきものは銃ではなく、未来を描く鉛筆である。
白い旅軍の旅が終わるのは、敵を滅ぼした日ではない。
子供たちが武器を置き、帰る場所を取り戻した日。それこそが、本当の「戦争の終わり」なのだ。
WORKS No.897

