WORKS No. 843 夢を運ぶ怪物

WORKS No. 843 夢を運ぶ怪物

WORKS NO. 843 夢を運ぶ怪物

少女が眠りにつくたび、枕元のスマートフォンには、存在しないはずの扉が現れた。
画面に表示されるのは、たった一つの言葉。
「帰りますか」
少女には、その意味が分からなかった。それでも毎晩、指は迷うことなく「はい」を選んだ。
すると空から、虹色の翼を持つ大きな怪物が舞い降りてくる。恐ろしい角も、鋭い爪もあったが、その手は驚くほど優しかった。怪物は少女を抱き上げ、雲の向こうに浮かぶ〈夢のワンダーランド〉へ連れていった。
そこでは、ティーカップが空を飛び、キノコが歌い、城は人々の笑い声を力にして輝いていた。悲しみはシャボン玉になり、涙は空へ昇って虹に変わった。
少女は夢中で写真を撮り、誰かに見せようとした。しかし、どれほど送信しても画面には「届ける相手がいません」と表示された。
不思議に思った少女が怪物に尋ねると、怪物は静かに答えた。
「ここは、君が幼い頃に捨てた夢の国だ。私は、忘れられた想像力から生まれた最後の住人。そして君は、この国を創った女王だった」
少女はスマートフォンから顔を上げた。
遠くの城が崩れ始め、空の虹が少しずつ色を失っていた。少女が現実ばかりを見て夢を忘れるたび、この国の何かが消えていたのだ。
「助ける方法はあるの」
怪物は大きな手を差し出した。
「記録するのではなく、もう一度ここで生きてほしい」
少女は迷った末、スマートフォンをポケットにしまい、その手を握った。
すると城に灯りが戻り、眠っていた花々が一斉に目を覚ました。空から無数の光が降り注ぎ、怪物の傷ついた翼を包んでいった。
朝、少女は自分の部屋で目を覚ました。スマートフォンから扉は消えていたが、机の上には見覚えのない虹色の鱗が一枚残されていた。
少女は久しぶり

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