WORKS No. 651 月下の砂宴

WORKS No. 651 月下の砂宴

WORKS NO. 651 月下の砂宴

砂の街
夜を待ちつつ
月の下
許されぬ影
笑みで息継ぐ

砂の街は、光を手放すことで輪郭を取り戻す。
昼のざわめきが沈み、音のない気配が満ちるころ、
月だけがすべてを静かに照らし出す。
その下で始まるのは、声なき宴。
許されぬ行為も、消えてゆく足跡も、
夜の中ではただの揺らぎとして漂う。
追われるように走り、息を切らしながらも、
ふと交わされる微笑みは、言葉よりも深い。
それは罪でも、赦しでもなく、
ただその瞬間にだけ存在する温度。
砂はすべてを受け入れ、そして消していく。
刻まれたはずの痕跡は、風とともにほどけ、
やがて何もなかったかのように静まる。
月は見ているが、何も語らない。
ただ淡く照らし続けることで、
この夜のすべてを、そっと包み込む。

WORKS No.651