WORKS NO. 635 老いが抱く光のかたち
年を経て
なお手に残る
夢の熱
光とともに
今を抱きしむ
年を重ねることは、
手放すことばかりではない。
確かに、いくつもの夢は形を変え、
届かなかった光も、静かに遠ざかっていく。
けれど、そのすべてが消えたわけではない。
手のひらには、まだ残っている。
若さの頃のように、
無限を疑わずに掴むことはできなくても、
その代わりに、
確かに触れてきた光の記憶がある。
夢は、未来だけにあるものではなくなる。
過去を通り抜け、
今この瞬間の中で、
静かに息をしている。
希望もまた、
誰かに託すだけのものではない。
育て、見送り、手放したあとでも、
なお、自分の中で灯り続ける。
それは小さく、揺らぎながらも、
決して消えない火のように。
年寄りの手は、
空を掴むためだけにあるのではない。
すでに触れてきた光を、
もう一度確かめるために、
そして今を抱きしめるためにある。
そこにある夢は、
若さのそれとは違うかたちで、
それでも確かに、生きている。
WORKS No.635

