WORKS No. 477 矯正される個性

WORKS No. 477 矯正される個性

WORKS NO. 477 矯正される個性

個性とは
矯正される
前提で
社会に出ると
知る成人

大人になるとは、自由が増えることだと教えられる。
だが実際に社会へ出ると、多くの人は逆の感覚を知る。振る舞い、言葉遣い、服装、価値観。見えない規範が無数にあり、それに合わせるほど「適応した人間」と評価される。
個性は否定されるわけではない。
ただ、管理可能な範囲に収まることを求められる。
この構造は悪意というより、集団が安定するための仕組みに近い。組織は予測可能な人材を好み、摩擦を減らす方向へ調整する。結果として、人は少しずつ角を削る。
問題は削ること自体ではない。
全部削ってしまうことだ。
適応は生存技術だが、全面的な同化は自己喪失に近い。心理的にも、自分の感覚を長期的に抑圧すると、無力感や空虚感が蓄積することが知られている。
成熟とは、矛盾した二つを同時に扱う能力だ。
社会に合わせながら、自分を残す。
場面ごとに調整しつつ、芯だけは手放さない。
個性は叫ぶものではなく、持ち帰るものだ。
成人とは、矯正を理解したうえで選び直す人間のことかもしれない。
全部従うのでも、全部拒むのでもない。
必要な分だけ差し出し、必要な分だけ守る。
その交渉を続けられる人が、長く壊れずに生きる。

WORKS No.477