WORKS NO. 414 老後編(それでも一緒)
歩幅ずれ
同じ速度で
生きていく
文句言い合い
今日も並んで
若い頃は、未来の話ばかりしていた。
どこへ行くか、何を成すか、
どんな夢を叶えるか。
老後になると、話題は変わる。
「今日は寒いな」
「膝が鳴った」
「薬、飲んだ」
夢より先に、体調の確認だ。
理想の老後は、
穏やかで、余裕があって、
毎日が静かな幸せ
そんな想像をしていた。
現実は、物忘れと愚痴と通院でできている。
それでも、
朝になれば隣にいて、
昼には同じ話を繰り返し、
夜には
「今日もお疲れさま」と声をかけ合う。
特別な会話は減った。
ときめきも薄れた。
だが、黙っていても落ち着く存在が
確かに残った。
老後の愛は、
盛り上がるものではない。
静かに、確実に、
生活の中に染み込んでいる。
選び直す理由は、もうない。
不満も癖も含めて、
今日も同じ場所に座り、
同じ時間を生きる。
それが、
「それでも一緒」という答えだ。
WORKS No.414

