WORKS No. 397 勘違いした医療

WORKS No. 397 勘違いした医療

WORKS NO. 397 勘違いした医療

治すとは
数字を追うこと
だけでなく
人の暮らしを
抱く営み

医療は、本来、
人の命と暮らしを守るために存在する。
だが、いつの間にか
目的と手段が入れ替わる瞬間がある。
数値が整えば「成功」とされ、
制度に沿えば「正しい」とされ、
効率が優先されるほど、
人の痛みは見えにくくなる。
それが、勘違いした医療の始まりだ。
医療は、
病気だけを診るものではない。
生き方、環境、孤独、
不安や恐れまで含めて向き合う営みだ。
数値は重要だ。
だが、数値だけでは人は救われない。
治療が正しくても、
患者が置き去りにされるなら、
それは本当に「医療」と呼べるのか。
説明されない不安、
選ばされる同意、

声を上げられない沈黙が、
人を静かに追い詰めていく。
勘違いした医療は、
善意の仮面をかぶる。
「決まりだから」
「専門家だから」

その言葉が重なるほど、
患者は主体性を失っていく。
本当の医療とは、
治す側と治される側が

同じ地面に立つことだ。
完璧でなくていい。
だが、誠実でなければならない。
理解しようとする姿勢こそが、
医療の信頼を支える。
医療は、
管理ではない。
支配でもない。

人が人として生き続けるための、
社会的な支援だ。
勘違いを正すとき、
医療は再び、
人の側へ戻ってくる。

WORKS No.397