WORKS NO. 881 『想像の世界を歩く、小さな冒険者』
幼い頃の冒険は、遠い国へ旅立つことだけではない。
見慣れた階段を巨大な城への入口だと思い、空に浮かぶ雲を未知の生き物に見立て、古びた玩具を頼もしい相棒として連れ歩く。大人の目には何もない場所であっても、子供の心には、色鮮やかな都市や不思議な怪物、まだ誰も知らない未来が広がっている。
そこでは、小さな身体でも勇者になれる。恐ろしい怪物と友達になり、空を飛ぶ機械に乗り、暗い迷路を抜け、自分だけの宝物を探しに行ける。
もちろん、それらはすべて幼い子供の想像力が生み出した世界なのかもしれない。けれど、現実に存在しないからといって、価値がないわけではない。
想像の中で未知の世界へ踏み出す経験は、現実の人生で新しいことに挑戦する勇気を育てる。怪物に立ち向かう空想は、恐怖から逃げずに向き合う心をつくり、不思議な仲間と旅をする物語は、自分とは異なる存在を受け入れる優しさを教えてくれる。
冒険心は、まだ知らないものへ近づこうとする力である。そして想像力は、目の前にない可能性を心の中に描く力である。
冒険心だけでは、進むべき未来を思い描けない。想像力だけでは、夢の世界から最初の一歩を踏み出せない。だから、どちらも大切なのだ。
子供が語る空想を、大人の常識だけで否定してはいけない。「そんなものはいない」「現実を見なさい」と夢の扉を閉ざすたびに、未来を生み出す小さな芽も失われてしまう。
かつて人間が空を飛び、遠い宇宙へ向かい、世界中の人々と言葉を交わせるようになったのも、最初は誰かの途方もない想像から始まった。現実は、いつの時代も、夢を見る者の心を追いかけながら形になってきたのである。
幼い冒険者が見ている世界は、決して現実からの逃避ではない。それは、現実をより豊かに生きるための心の訓練であり、未来へ進むための最初の地図なのだ。
成長して現実を知ることは大切である。しかし、現実を知ることと、想像する力を失うことは同じではない。
心の中の怪物と歩いた記憶も、存在しない都市を旅した時間も、いつか困難に立ち向かう勇気へと変わる。
子供たちよ、想像の翼を広げよう。そして、小さな一歩で冒険へ向かおう。
その二つを大切にできる心こそ、まだ存在しない未来を、本当の世界へ連れてくる力になるのだから。

