WORKS NO. 729 朝に奪われた鼓動
指先で
確かめ合った 鼓動さえ
夢のようだと
朝が奪った
夜は不思議だ。
触れた指先の温もりも、重なり合う鼓動も、まるで永遠が約束されたかのように感じられる。
世界の雑音は遠ざかり、時間さえも二人のためだけに流れているように思える。
だが朝は、いつも静かに現実を連れてくる。
目を覚ました瞬間、確かにそこにあった温もりは少しずつ輪郭を失い、昨夜の記憶は夢と現実の境界へ溶けていく。
それでも人は恋をする。
失われる可能性を知りながら、消えてしまうかもしれない幸福を抱きしめようとする。
永遠だから美しいのではない。
終わりがあるからこそ、その一瞬の鼓動は奇跡のように輝くのだ。
WORKS No.729

