WORKS NO. 696 滅びきれない灯
飢える夜
誰かの歌が
聞こえれば
人はまだまだ
滅びきれない
極限の時代になるほど、
人は「生きる意味」を試される。
食べ物が足りず、
未来も見えず、
寒さと不安だけが積み重なる夜。
そんな状況では、
人は理性より先に、
希望を失ってしまうのかもしれない。
だがその暗闇の中で、
誰かが小さく歌を口ずさんでいたなら。
それは単なる音ではない。
「まだ心が死んでいない」という証になる。
歌は、
余裕のある時代だけの娯楽ではない。
苦しみの中でも、
誰かを励まし、
孤独を分け合い、
人間らしさを繋ぎ止めるための火でもある。
だから、
飢えた夜に歌声が残っている限り、
人類はまだ完全には滅びていない。
文明が壊れても、
心の灯まで消えていないのなら、
そこからまた、
新しい朝を作ることができる。
WORKS No.696

