WORKS NO. 694 欲望の残響
廃墟には
広告だけが
残されて
欲望の時代
虚しく照らす
街が崩れ去ったあとでも、
広告だけは不気味なほど鮮やかに残ることがある。
誰もいない道路。
砕けた窓。
止まった時計。
風だけが吹き抜ける無人の都市。
それでも巨大な看板は、
「もっと欲しがれ」と言わんばかりに、
色褪せた光を放ち続ける。
豊かさを追い求め、
便利さを競い合い、
終わりのない欲望を拡大してきた時代。
だが人が消えたあとに残るのが、
愛でも思想でもなく、
消費を促す言葉だけだったとしたら、
文明とは何を築いていたのだろう。
廃墟の中で光り続ける広告は、
繁栄の象徴であると同時に、
欲望だけが肥大化した時代の
静かな墓標にも見える。
WORKS No.694

