WORKS No. 688 雨上がりの速度

WORKS No. 688 雨上がりの速度

WORKS NO. 688 雨上がりの速度

雨上がり
濡れたアスファルトを
駆け抜ける
未来なくとも
君がいればいい

雨が止んだ街は、少しだけ静かだった。
濡れたアスファルトはネオンを映し、
夜の景色をぼやけた夢のように滲ませている。
行き先なんて、もう分からなかった。
正しい未来も、安定した答えも、
どこか遠くへ置き去りにしてきた気がする。
それでも、隣に君がいた。
笑いながら走る呼吸、
濡れた袖、

触れそうで触れない距離。
その瞬間だけは、
世界の不安も、現実の重さも、消えていた。
人はきっと、完璧な未来を求めているわけじゃない。
本当に欲しいのは、
「この時間が終わらなければいい」と思える存在なのかもしれない。
雨上がりの街を駆け抜けながら、
壊れそうな青春の熱だけが、
確かに胸の奥で燃えていた。

WORKS No.688