WORKS NO. 574 欲と安らぎ
欲深き
思いが涙
呼ぶならば
何もかも捨てて
安らげるのか
人の苦しみは、しばしば「欲」から生まれると言われる。
もっと欲しい、失いたくない、こうであってほしい。
その思いが強くなるほど、現実との距離が広がり、
やがて心に痛みが生まれる。
だからこそ、多くの思想は「手放すこと」を説いてきた。
執着を減らせば、苦しみもまた軽くなると。
しかし、すべてを捨てることが本当に幸せなのだろうか。
望みも夢も、喜びも期待も、
もし完全に消してしまったなら、
人の人生はどこへ向かうのだろう。
欲望は、確かに悲しみの種になる。
だが同時に、それは人を前へ進ませる力でもある。
何かを望むからこそ、人は挑戦し、
誰かを大切に思うからこそ、人生は色を持つ。
問題は、欲そのものではないのかもしれない。
それに縛られすぎることが、
心を苦しめるのだろう。
すべてを捨てる必要はない。
ただ、自分の願いと静かに向き合い、
それに飲み込まれない距離を持つこと。
そのとき初めて、
欲と安らぎは、
同じ人生の中で共存できるのかもしれない。
WORKS No.574

