WORKS NO. 541 限界の中の支配欲
限りある
理解の中で
足りぬのに
なお支配へと
手を伸ばすなり
人の理解には限界がある。
どれだけ学び、経験を積み重ねても、世界のすべてを把握することはできない。
それでも人は、不完全な認識のまま、物事を支配しようとする。
知った気になることで安心し、分かったつもりで判断を下す。
しかしその多くは、断片的な情報に過ぎず、見えていない部分の方がはるかに大きい。
本来、理解とは「広がるもの」であり、「支配するもの」ではない。
未知を受け入れ、自らの限界を認めることから、思考の深さは生まれる。
それでもなお、人は「完全」を求める。
不安を打ち消すために、世界を単純化し、掌握したいと願う。
だが、すべてを支配しようとするほど、視野は狭くなる。
逆に、理解しきれないことを認めたとき、人は初めて自由になる。
不完全であることは、弱さではない。
それは、成長し続ける余白そのものだ。
WORKS No.541

