WORKS No. 465 手を差し伸べぬ都会

WORKS No. 465 手を差し伸べぬ都会

WORKS NO. 465 手を差し伸べぬ都会

手を伸ばし
触れぬ距離だけ
増えてゆく
求めぬふりの
都会の灯り

この都会では、人は容易に手を差し伸べることができる。
通信手段も、交通も、機会も、理論上は無数に存在する。
それでも「求めない」という選択が、無意識に積み重なっていく。
人は拒絶を恐れる。
関係の責任を恐れる。

そして合理性という名の防御を身にまとう。
結果として、互いに干渉しない距離が最適解として維持される。
それは冷たさではなく、都市が生んだ一種の秩序であり、
自己保存の知恵でもある。
だが、灯りが多いほど影も増える。
選択肢が多いほど、決断は先送りされる。
理論的には繋がれる社会で、
詩的には孤独が均等に配られている。
手を差し伸べないのではない。
差し伸べる理由を、互いに計算しているだけなのだ。
この都会は、求めないふりをした無数の心が、
静かにすれ違い続ける場所である。

WORKS No.465