WORKS No. 812 家庭を必要とする子どもの里親制度

WORKS No. 812 家庭を必要とする子どもの里親制度

WORKS NO. 812 家庭を必要とする子どもの里親制度

里親制度とは、保護者の病気、死亡、行方不明、虐待、養育困難などの事情によって家庭で暮らせない子どもを、児童相談所からの委託により家庭へ迎え、一定期間養育する制度です。目的は大人が子どもを所有することではなく、子どもが安心できる生活と継続的な人間関係の中で成長できるよう、社会全体で支えることです。
里親には主に四つの種類があります。養育里親は、家庭で暮らせない子どもを必要な期間養育します。期間は数日程度の場合もあれば、数年間に及ぶ場合もあります。専門里親は、虐待による心の傷、非行、障害などがあり、専門的な支援を必要とする子どもを養育します。一定の養育経験や専門的な研修が必要です。養子縁組里親は、将来、特別養子縁組によって法律上の親子になることを希望する里親です。親族里親は、実親の死亡、行方不明、長期入院などにより養育が困難になった場合に、祖父母などの親族が子どもを養育します。
養育里親と養子縁組里親は同じものではありません。養育里親の場合、子どもが実親のもとへ戻ることや、別の生活場所へ移ることもあります。里親には実親との交流や家庭復帰を支える役割もあり、預かった子どもを必ず養子にできる制度ではありません。別れが伴う可能性を理解し、自分の希望より子どもの将来を優先する覚悟が必要です。
里親を希望する人は、居住地域を担当する児童相談所の里親担当窓口、自治体の里親支援センター、またはフォスタリング機関へ相談します。担当窓口が分からない場合は、市区町村のこども家庭センターや子育て支援課へ「里親制度の相談先を知りたい」と問い合わせてください。
相談後は、制度説明と面接、基礎研修、登録前研修、乳児院や児童養護施設などでの実習、申請、家庭訪問を含む調査が行われます。その後、児童福祉審議会などの意見を踏まえて自治体が認定・登録します。登録後も直ちに子どもが委託されるとは限りません。子どもの年齢、性格、生活歴、必要な支援と、里親家庭の状況を考慮してマッチングし、面会や交流を重ねたうえで委託が決まります。
特別な職業資格、高収入、持ち家は一律の必須条件ではありません。年齢にも全国一律の上限はありませんが、長期的に養育できる健康状態、生活の安定、子どもへの理解と熱意、安全な住環境、研修の修了などが確認されます。本人だけでなく、同居する家族の理解と協力も重要です。里親本人や同居人が法律上の欠格事由に該当しないことも必要です。
単身者、共働き家庭、性的少数者であることだけを理由に、一律に里親登録から除外されるものではありません。ただし、誰でも無条件になれるという意味ではありません。子どもの生活に必要な時間を確保できるか、病気や緊急時に助けてくれる人がいるか、保育所などを利用できるかを含め、各自治体が家庭ごとに総合的に判断します。
委託中は、子どもの一般生活費、教育費、医療費などが制度に基づいて支給され、養育里親や専門里親には里親手当も支給されます。ただし、里親の種類、子どもの年齢、支出内容、自治体の運用によって対象や金額が異なります。「すべての費用が必ず賄われ、持ち出しが一切ない」とは断定できないため、登録前に児童相談所や里親支援センターへ具体的に確認してください。
養育中に困ったときは、一人で抱え込まず、児童相談所の担当児童福祉司や児童心理司、里親支援センター、フォスタリング機関、地域の里親会、児童家庭支援センターへ相談します。一時的に養育を代わってもらうレスパイト・ケアを利用できる地域もあります。
里親は、善意だけで務まる役割ではありません。子どもの生い立ち、実親への思い、心の傷、発達上の課題を受け止め、支援者と協力しながら養育する責任があります。子どもは大人の寂しさを埋める存在でも、理想どおりに育てる所有物でもありません。子供は犬猫のペットではありません。

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