WORKS NO. 733 涙の向こうの笑顔
綺麗だね
そう呟いた
その後で
君は涙を
隠して笑う
「綺麗だね。」
その言葉は、景色に向けたものだったのか。
それとも、君自身に向けたものだったのか。
今となっては分からない。
ただ、君は少しだけ目を伏せて、
誰にも気付かれないように涙を隠した。
悲しいから泣くのではない。
本当に美しいものに触れた時、
人は時に言葉を失い、
涙でしか答えられなくなる。
それでも君は笑った。
その笑顔は強がりではなく、
痛みも優しさも受け入れた者だけが持てる、
静かな輝きだった。
あの日見た景色よりも、
僕の心に残ったのは、
涙を隠して微笑む君の横顔だった。
WORKS No.733

