WORKS NO. 726 君の香り
幻想と
現実の闇
漂えば
君の香りが
闇を染めてく
幻想と現実の境界は、ときに驚くほど曖昧になる。
眠れない夜。
静まり返った街。
遠くで鳴る風の音。
そんな時間の中では、記憶も願いも後悔も、すべてが溶け合いながら心の中を漂っている。
目の前に君はいない。
触れることもできない。
それでも不思議なことに、ふとした瞬間に思い出す香りだけは、時間や距離を超えて蘇る。
香りには形がない。
手で掴むこともできない。
だが、だからこそ深く心に残る。
幻想と現実の狭間で迷いそうになる夜ほど、君の存在は鮮明になる。
闇は消えない。
孤独も完全にはなくならない。
それでも君の香りは、世界を照らす光ではなく、闇そのものを優しく染め変えていく。
人が誰かを愛するということは、もしかすると、そういう静かな奇跡なのかもしれない。
WORKS No.726

