WORKS NO. 704 幸せが怖くなる夜
眠る君
髪へ触れれば
胸の奥
幸せだから
泣きたくなるよ
静かな夜だった。
眠る君の呼吸は穏やかで、世界から切り離された小さな時間だけが、そこに流れていた。
そっと髪に触れた瞬間、なぜか胸が苦しくなった。
悲しいわけじゃない。
苦しいわけでもない。
ただ、人は大切なものを見つけた時、ときどき怖くなる。
失いたくないと思うほど、その存在は心の深い場所へ入っていく。
幸せとは、ただ笑うことではないのかもしれない。
あまりにも大切だから、涙が出そうになること。
守りたいと思うほど、少し震えてしまうこと。
そんな弱さごと抱きしめる夜がある。
WORKS No.704

