WORKS NO. 699 匿名の刃
顔もなく
声すらもたぬ
相手へと
傷つく言葉を
打ち込み続ける
画面越しの世界では、相手の表情も声も見えにくい。
だからこそ、人は時に現実では言えないほど鋭い言葉を簡単に放ってしまう。
匿名性は、本来「自由に意見を言える場所」を生み出すための仕組みでもあった。
だが同時に、その匿名性は責任感や想像力を薄れさせる危うさも抱えている。
送った側には、ただの文字列に見えるかもしれない。
しかし受け取った側には、その言葉が長く心に残り、眠れない夜や自己否定へと繋がることもある。
現代は、物理的な刃を持たずとも、人を深く傷つけられる時代になった。
だからこそ必要なのは、「正しさ」だけではなく、画面の向こうにも感情を持った人間が存在しているという想像力なのだと思う。
言葉は見えない。
だが見えないからこそ、ときに最も深く突き刺さる。
WORKS No.699

