WORKS NO. 652 変わらぬ距離
あの頃と
同じまなざし
向けないで
無邪気な声が
遠くを刺すよ
時間は確かに流れているはずなのに、
ふとした瞬間に、すべてが巻き戻ったように感じることがある。
変わったのは、環境でも距離でもない。
変わってしまったのは、自分の内側のほうだ。
だからこそ、あの頃と同じ無邪気さで話しかけられると、
そこに戻れない現実だけが、はっきりと浮かび上がる。
笑顔は変わらないのに、受け取る側の感触が違う。
かつては当たり前だったやり取りが、
今はどこか眩しすぎて、少し痛い。
拒んでいるわけではない。
ただ、その距離の変化を、うまく言葉にできないだけだ。
同じ言葉でも、同じ時間には戻らない。
それでも交わされる瞬間がある限り、
過去と今は、静かに重なり続けていく。
WORKS No.652

