WORKS NO. 614 無駄に見える文化の価値
無駄に見え
手に残らぬもの
それゆえに
人の心に
文化は宿る
文化はしばしば、「無駄」と見なされる。
直接的な利益を生まない。
生産性にも直結しない。
生活に必須ではないものも多い。
しかし、その「無駄」に見える領域こそが、
人間らしさを形作っている。
音楽、芸術、言葉、習慣、儀礼。
それらは生きるために絶対必要ではないかもしれない。
だが、それがなければ、
人はただ機能する存在に近づいてしまう。
文化とは、効率の外側にある余白であり、
その余白があるからこそ、感情や意味が生まれる。
無駄を削ぎ落とし続けた先に残るのは、
合理的ではあるが、どこか空虚な世界だ。
逆に、無駄を受け入れることで、
社会には深みと広がりが生まれる。
文化はすぐに役に立つものではない。
だが長い時間をかけて、価値観や美意識、
そして人と人との関係性に影響を与えていく。
それは、目に見えにくい形で社会を支える基盤でもある。
無駄に見えるものをどう扱うか。
そこに、その社会の成熟度が現れる。
文化とは、必要の外側にあるがゆえに、
最も大切なものの一つなのかもしれない。
WORKS No.614

