WORKS No. 463 まともを選び直す日

WORKS No. 463 まともを選び直す日

WORKS NO. 463 まともを選び直す日

まともとは
何かを初めて
見つめた日
涙ぐむ笑顔
命を告ぐる

俺は、その日初めて
「まともな生活」という言葉を
真正面から見つめた。
それは理想論でも、

世間体の良さでもない。
毎日の働き方、
時間の削り方、
誰と人生を組み、

何を最後まで守るかという、
逃げ場のない現実だった。
ある日、彼女は少し涙を浮かべたまま笑い、
声を抑えるように呟いた。
新しい命が、ここに宿っている、と。
その瞬間、世界の音が変わった。
責任は重荷ではなく「意味」になり、
未来は漠然とした不安ではなく、
体温を持つ存在として立ち上がった。
引き返せない現実は、
同時に、生きる理由へと姿を変える。
守るべきものを得たとき、
人は初めて、
自分なりの「まとも」を選び直す。
まともな生活とは、
正しさを演じることではない。
誰かの人生を、
自分の人生として引き受ける覚悟。
それだけだ。

WORKS No.463